『怖い絵』を読む。

ホラーでもサスペンスでもありません。笑

最近ちょっとハマっている本がありまして、それが「怖い絵/中野京子」。タイトルからして、一見、ホラーとかサスペンスのような内容を想像しちゃいますが、内容は有名な美術作品(絵画)に隠されたバックグラウンド(描かれた当時の状況や、巨匠たちがその作品を描いた理由など)を各作品毎に紹介している美術トリビアのような本です。自分も実際に手に取るまでは、お!怖い系の小説かなぁ、と思ってました。笑

この本の面白いところは、数々の名作の「魅力」の紹介ではなく、その作品に隠された「恐怖の背景」にスポットを当てて紹介しているところでしょうかね〜。今は美術作品として世に広く公開されている絵が、実は恐ろしい背景(当時の社会情勢や描いた巨匠たちの心情や心理など)の下に描かれた作品だと知ることで、その絵への見方が変わりますし、気がつかなかった魅力を再発見出来るという面白さもあったりします。

絵画作品の新しい楽しみ方。

美術作品の紹介において、作品そのものの魅力(色彩や構図など)について語られている本が多い中で、こうして、作品が描かれていた当時の社会の仕組みや、また、作品を描いた巨匠たちの生活状況(心理状況)も交えて、作品の魅力(怖さ)を伝えている本はなかなか無いので、このシリーズのような切り口での楽しみ方は新鮮ですね。キーワードが「怖い」に設定されているのも絶妙ですね。

美術に関する専門知識は要りません。

美術関連の本というと、なんとなく専門的な知識を用いて述べた本が多いような気がしますが、この本ではあまり登場しませんのでご安心を(そういう趣旨の本じゃないので大丈夫)。また、それぞれのチャプターには、カラーで作品がプリントされているので、作品を楽しみながら読み進めることができてグッドです!

個人的にはピカソのチャプターが好きかなぁ。怖いというよりは彼の生命力の強さに「驚き」を感じたチャプターですが。。。笑 しかし、巨匠たちと普通の人たちの間の距離感を感じずにはいられない一冊ですね〜。決して巨匠たちが「変人」という意味ではありません。笑

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