『Wandering Moon』を聴く。

まるで夢を見ているかのような
幻想的な世界観。

ジャズトランぺッター、テレンス・ブランチャードの傑作アルバム「Wandering Moon」。曲調はアルバムのタイトルからして分かるように、まさに「さまよって(Wandering)」いる感じ。笑

テレンスの個性豊かな音色と、この奇妙で幻想的な世界観がぴったりと重なり合っていて、まるでロードムービーを見ているかのような倦怠感と、不思議な高揚感があります。

もともと彼の音色はトランペット特有の華やかな音色とは違って、重く柔らかい音。もう一つの特徴である、ピッチの無い無限音階のような、うねるようなブロウもカッコ良くて、なんだかトランペットを聴いていたんだか、別の楽器を聴いていたんだか分からないような曖昧な感覚になってしまうのがとても好きなんだよね。

どこまでもさまよう。。。

全編を通じて各アーティストの奏でるソロが秀逸で、「果てしなくさまよう感覚」と「浮遊感」みたいなふわふわした奇妙な不思議な雰囲気を見事に演出してるおかげで、聴いている間はトリップできちゃいます。笑 それ故に、このアルバムを聴き終わると、急に現実世界に引き戻されたかのような(そう、映画館から出てきた感じ?笑)、ちょっと心地よい倦怠感みたいなものを感じられる、そんな不思議な力を持ったアルバムですね〜。

ちなみに、パーソネルは息の合ったお馴染みのメンバーで、Tpのテレンスをはじめ、Tenor Saxのブランフォード・マルサリス、ブライス・ウィンストン、Alt Saxのアーロン・フレッチャー、Pfのエドワード・サイモン、Bassのデイヴ・ホランド、Drumsのエリック・ハーランドと安定感バッチリ。個人的にはベースのデイヴ・ホランドにだいぶ支えられているような、そんな彼の懐の大きさを感じたアルバムでもありましたね〜。もちろん、テレンスもそのおかげで安心して吹けるんだろうけどね。

オススメは「Luna Viajera」「Sweet's Dream」「I Thought About You」のスローナンバーと「If I Could,I would」の激しく狂おしいソロとのコントラストを楽しむのがいい感じ。気だるい時にどうぞ〜。

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